« 蜘蛛女 | トップページ | ちょっと裏庭へ »

2017年7月 5日 (水)

一本道

タイマグラで、生まれ育った岑生さんを訪ねる。北上山地で生きて来た岑生さんの食べてきたもの、眺めた景色。そして、失ってしまったものをしばし巡る時間。
東京、富山、山形、気仙沼、一関、盛岡、花巻からの若い人たちと訪ねることができたのも嬉しいこと。…何を食べて、何を感じて、何を選んで生きて行くのかを、岑生さんの言葉と姿から問われるようで。

数日前には「一年の半分が終わる!!」なんて思っていたのに、7月5日ともなれば、平静な日常が流れる。

先日半年ぶりに訪ねてくれたドイちゃん、早起きしてアカショウビンの登場を待った。鳴き声と赤い飛翔体が下流に、そして上流に向かう姿に二度出会えたという。私は未だ声を聞いたことしかない。翌日、翌々日、早起きしてシンガポールから来ているシャメインと出かけた。シャメインはシンガポール在住の学生時代の先輩の娘さん。初めての東北一人旅が、タイマグラとは!

私「朝早いけど行く?」
シャメイン「ハイ!イキマス!」
22歳の誕生日をわが家で迎えた彼女に、アカショウビンの「ピョロロロロロ〜」もお祝いに届くかな?朝5時、小一時間ウロウロ。2日目は6時。しかし、声も姿も無し。(今朝は4時前に布団の中で聞けたのだけど)

気を取り直して、畑の真っ赤なイチゴとミントで飾った小さなタルトでお祝いした。そして二人で薬師岳の霧に包まれたコメツガやオオシラビソの原生林を歩く。足元のオサバグサ、ズダヤクシュ…。ヒカリゴケの柔らかな輝き。シンガポールに、もともとの植生はほとんど残ってないという。高層マンションに暮らす理系の大学生の目に、この自然はどう映っただろう。灯りに集まる無数の虫、外は漆黒の闇、空には無数の星…。

お祝いの夕食はシンガポールではおそらく食べることができない⁉︎凍みホド(ジャガイモのフリーズドライ)。縁側でトントン石臼に向かう。シンガポールとタイマグラのある意味対極な環境を、軽々と越えて楽しんでいた。

…と、そこへもう一人アレコレと越えた人が現れる。中学一年の時の担任だったイシダセンセイ。いつも「出たぁ!!」みたいなリアクションで、申し訳なく思いつつ、これはショウガナイ。いつもセンセイは突然なんだもの。

ただ今日本一周の旅をしているという。在来種の米と小麦の種を10000人に渡す種蒔きをしているのだと。

美術の教師として新卒でやってきたセンセイを、コテンパンにした13歳の私。校舎の4階からは椅子が落ちてくるような中学校だった。廊下を自転車で乗り回す人やら、卒業式の会場が荒らされて、警察も来た。子どもたちの有り余る思いと行動。受け止めきれない大人。職員室で行われていた内申点の操作。センセイは抗議するも揉み消された。その後教師を辞めてアーティストとして活動し始める。

パチンコ玉の入った豚の血を立方体に凍らせ、白い布の上において、溶けていく様を観客が見る。とか、島根の脆い石で何やら作ってると聞いたこともあった。そしてそして農業に出会う。自然に問いながら食べ物を作り、自然の循環に魅せられ、種を渡す旅が始まった。受け取った人に芽生える変化。

センセイの生き方が、もはやアートの域に入っているように思う。シャメインと私は種を受け取り、薪ストーブを囲み、凍みホドを食べる不思議な時間。

あの中学校時代は何だったんだろう。あんな私や、そんな私、こんな私も全部私。センセイの登場で、様々な思いが去来している。

その後の私の東京の日々は、楽しいながらもいつも何かが足りないと思って暮らしていた。それはデパートには売っていないモノ。そんな頃訪ねたタイマグラには、ズラーッと揃っていた。
暮らしの中心に燃える火、湧き水、あらゆる命を育む森、お金はなさそうなのに、楽しそうに暮らすばあちゃんや、ヒゲの主、それからそれから…。22歳だった(遠い目)。

そして3年後、タイマグラでの暮らしが始まった。始めるなら一番寒い季節から!(若いね!気合いを感じるね!)

マタタビの葉が美しく白く輝く。22年前の明け方、タイマグラに産声が響いた。鳥たちのさえずりがシャワーのように降り注ぐ中、初めての赤ん坊を抱いた。

明日で、函館の息子22歳。クマにドキドキしながら、モミジイチゴを手早く摘んで、フキの葉で包み、今年も小包みに忍ばせる。クマの子が夢中で食べている間に母グマが離れるというイチゴをね!

最近22歳、友部正人などを聞いているという。『一本道』は友部正人がそんな年代に作った歌だったんだなぁ。

ふと後ろをふり返ると
そこには夕焼けがありました
本当に何年ぶりのこと
そこには夕焼けがありました


写真の設定が、相変わらず
ヘンですが…。
米、タイマグラでは育つかな。
小麦は秋にまいてみよう


マタタビ。ネコじゃなくてもこの可愛い花に酔ってしまいそう

|

« 蜘蛛女 | トップページ | ちょっと裏庭へ »

コメント

イシダセンセイは、蜘蛛女の畑アートをどう思ったかな(笑)

投稿: | 2017年7月 6日 (木) 17時47分

どうでしょうねぇ。蜘蛛男になって自分でもやってみたかった⁉︎

投稿: yama | 2017年7月 6日 (木) 22時20分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 蜘蛛女 | トップページ | ちょっと裏庭へ »