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2008年1月 4日 (金)

子どもの涙

年が明けてから松江郊外で
兄たち一家と従姉妹一家や祖母叔母たちと過ごす。
総勢25名。

子どもの頃、毎年島根の三瓶山に登り
いとこたちと過ごした夏の日を思い出す。

中3の姪から3歳まで11人の子ども。
タイマグラから持ってきた
カンカラ三線、中3の姪と12歳は練習する。

年末からの雪に大喜びの子どもたち。
湿った雪でズックをビショビショにしながら
10歳以下はかまくら作り雪合戦。

祖母とひ孫たちとの百人一首は
私や兄たちの
「おしゃべりがうるさくて集中できなかった」らしく
祖母としては不本意な結果となった。
松江滞在中に一戦設けたほうがよさそうだ。

プロジェクターを持ち込んで
正月DVD鑑賞会。

父は独特のカメラワーク!?で
フシギ映像を撮る才能があるのだが(笑)
先月の沖縄行きの映像、無修正を見る。
車酔いしそうな画面。
嘉数の高台にある住宅地。遠くに見える海。

お次は「海と毒薬」いつの間にかレンタルしていた父。
現役外科医の下の兄
まもなく外科医から転職する上の兄
元外科医の父。
人の死を日常にしている彼らと
身近に人の死など、片手で数えるほども経験していない私。
 
映画では
担当の老婆が亡くなったことをきっかけに
捕虜の人体解剖の助手を承諾する若い医師。

そんな同僚に
『「執着」がいなくなり「迷い」がなくなったな』と言葉をかけ
助手を即答しながらも自らも葛藤するもう一人の若い医師の対比。
熊井啓の「サンダカン八番娼館 望郷」も観たいと思っているのだけど。

最後は「ポアンカレ予想」を解き明かした
学者グレゴリー・ベレルマンの特集番組の録画。
これはあまりにもチンプンカンプンで私の意識は混濁。
自力で退場、沈没。
一年のスタートにしてはアルコールも過ぎたか。

「どうでもよい記憶力が抜群によい」と家族から私は言われている。
兄たちや父の議論に私は入らずにいや入れずに
いつも耳を傾けてきたことを思い出した。
そして一人で反芻する。
どういうことなんだろう。

上の兄とけんかした記憶はないが
下の兄とは5つ違うわりにはけんかしていた。
口でも腕力でも兄に太刀打ちできない悔しさ。
「あの言葉にこう切り返せば、
ギャフンと言わせられたのだろうか…」
言葉や場面を振り返るクセのようなものが
身についたのだろうか。

喉が渇いて早朝目覚め
薪ストーブをつけ図書館で借りてきた
在日朝鮮人である徐京植の子ども時代の読書遍歴を読む。

松江に来る途中、東京の本屋で子どもの時に読みそびれた
ケストナーの「点子ちゃんとアントン」を見つけ
車中で読みなながら来た。松江の本棚に
私の子ども時代に読んだ
「エーミールと探偵たち」「二人のロッテ」などみつけ、
息子たちもケストナーの世界を感じたら…なんて思ってみたり。
「子どもだまし」ではないケストナーが子ども心に好きだった。

徐京植の本のタイトルは奇しくもケストナーからの引用だった。

   子どもの涙はけっしておとなの涙よりちいさいものではなく、
   おとなの涙より重いことだって、めずらしくありません

韓国留学中に兄たち二人は政治犯として
過酷な獄中生活を過ごすことになる。
私は二十歳の頃何故だか、父の本棚から見つけた
徐兄弟の獄中からの手紙のやりとりを読んだことがあった。

20年ぶりの兄たちとの再会に
  経験を重ねて人間は変わるという命題はもちろん正しい
  しかし、人間はほとほと変わらないという命題もまた
  正しいのではないか。

と、あとがきに書かれていた。そしてこう続く。

  子どもの頃にいやおうなく刻印されてしまった
  何ものかを背負ったまま、人は、多くの悲しみと
  わずかな喜びに彩られた長い人生の時間を耐え忍ぶのである。
  そして人に人生を耐え忍ぶ力を与える源泉もまた、
  子どもの頃に体内深く埋め込まれた、
  そのなにものかに潜んでいるのだ。

これまで寄り付きもしなかった
人生なんていう言葉が、最近ちらりとひっかかる私。

さてわが家の「子どもの涙」、
7歳はここのところ10歳に対抗するが
言葉でも力でも負けて悔し涙ちょいちょい。心乱れる。
10歳は10歳で遊び疲れて帰宅し家に入ったところで
老犬の「粗相」を踏んでしまい、悲しみバクハツ。
12歳は年賀状の版画つくりに1日、
15枚刷るのに1日、
追加で1枚刷るのに1日
合間に科学法則集(by 漫画)などを読んでいる。
つい「おーい大丈夫かい」と声をかけたくなる。
泣くこともなくなってきたこの頃。

昨晩になって今日は金曜日であることに気づき
ちょっとスリリングな気持ちになりつつ
「タイマグラの風」、今回は松江の風も
ちょっと加えてみようかな。

今年も皆々様 よろしくお願いいたします。

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